広島大学は、我が国でもっとも多くの前身校を持つ大学です。前身諸 学校の中では、広島師範学校(昭和18年設立)の前身の白島学校が明 治7(1874)年にもっとも早く設立されました。その後、明治20年に広島 高等女学校、明治35年に広島高等師範学校、大正9(1920)年に広島高等 工業学校、大正11年に広島県実業補習学校教員養成所、大正12年に広 島高等学校、昭和4(1929)年に広島文理科大学、昭和20年に広島市立工 業専門学校、広島県立医学専門学校が設立されて、今日の広島大学の基 礎となりました。これらの学校では各分野の専門家や教員の育成を行い、 地域のみならず全国へ優秀な人材を輩出して参りました。 これら多くの前身校が統合され、今日の広島大学になるまでには様々 な紆余曲折がありました。とりわけ大きな出来事は、昭和20年の原子 爆弾投下という人類最初の悲惨な出来事でした。このことにより多くの 前身諸校の生徒、教職員が被害に遭われました。わたしたちは、犠牲と なられた方々の人生と学問への希望を受け継いでいかなければなりませ ん。広島大学の建学の精神である『自由で平和な一つの大学』は、現在 も脈々と受け継いでいます。その後、大学紛争、東広島へのキャンパス の統合移転、国立大学法人化などを経て、我が国有数の国立大学へと成 長して参りました。卒業生の数も多く、新制広島大学となってからすで に17万人以上の卒業生を送り出しています。 この冊子は、原爆の廃墟から不死鳥の様に立ち上がった広島大学のあ ゆみ、本学の理念と象徴、学生生活の移り変わり、教育と研究、などを 概観しています。これによって、私ども広島大学の発展の足跡を知り、 建学の精神を理解し、その上で広島大学の未来に想いを巡らしていただ くことで、構成員を始め関係者の共通認識に役立つことになれば幸いで す。
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